一人の男の、死に向かっている病床の
夢物語、あるいは夢、でもリアルな。
意識不明のときでも、耳は聞こえてるって
私も聞いたことがある。
死が近づいた時にだけ見る
いわゆる「走馬灯」ってのも、
あながち有り得ないことでもないのかも、
って思ってる。
私の父の時も。
父は禅問答みたいに
「あるものはある。無いものはない。」
とか呟いて
意識は無さげなのに
目が何かを必死に追っていた。
何かを見ていた。
私達はずっと話しかけていた。
そんなことを思い出しながら読んだ。